ここでは、助詞の一類「副助詞(ふくじょし)」の一覧表を、それぞれ種類別に、働き・使用箇所・例文でご紹介していきます。ちなみに、副助詞とは、色々な語に付き、それらの語にある意味を添えて、副詞のように後の用言や活用連語を修飾・限定する働きをする、助詞の1類のことです。詳しくは、「副助詞とは」をご覧ください。
副助詞の種類は、現代語では「ばかり・まで・だけ・さえ・ほど・くらい(ぐらい)・など・なんか・なんて・なり・やら・か・ぞ・し・ばし・がてら・なぞ(なんぞ)・ずつ・のみ・きり・や・だに・すら」などがあり、古語では、「だに・すら・さへ・のみ・ばかり・など・まで」などが存在しています。
種類 | 働き | 使用箇所 | 例文 |
---|---|---|---|
ばかり | 物事や程度、原因を該当する範囲に限定したり、くらいと同じく物事のおおよその程度、分量、時刻、距離を表す。また、動作が完了して、まだ間もないことを表したり、すぐに実行される段階にあることを表す時にも使用されたりする。また、繰り返しが暗示される用法もある。 | 体言または副詞、活用語の連体形、格助詞の後などに付く。 | 守られてばかりだ。僕も役に立ちたい.. |
まで | 事柄や動作の距離的または時間的な限度および範囲または到達点を示す。程度や動作の限定に用いられたりする他に、極端な例を挙げ他を類推させる時にも用いる。 | 名詞や活用語の連体形、格助詞の後に付く。 | ここまでのようね。僅か一分の逃亡で、彼女はそう言った。 |
だけ | 分量や程度、限度および範囲の限定の際に用いられる。 | 名詞や活用語の連体形、あるいは格助詞の後に付く。 | うるさい!嬉しいだけだ。泣いてなどいない。 |
さえ・さへ | すでにあるものの上に、さらに付け加える意を表す。または、ある事柄を強調的に例示し、それによって、他の場合は当然であると類推させる意を表す。その条件が満たされれば十分な結果が生じる意を表す。 | 名詞、活用語の連体形または連用形、助詞などの語に付く。 | エジソンでさえ空は飛べなかったのよ。 |
ほど | 大凡の分量や程度、動作や状態の程度、打ち消しの語と呼応して程度の比較に用いる。また、「~ば~ほど」の形で程度の高まりに比例して他の事柄もあがる意味を持つ。おおよその分量・程度を表す。 | 体言および活用語の連体形、指示語などに付く。 | 血が拒絶するほど俺達は、強く強く繋がっている。 |
くらい・ぐらい | 大凡の分量や程度、基準、事態を示した上での程度の強調を表す。おおよその分量・程度を表す。 | 体言および活用する語の連体形に付く。 | ワシの余命は、多く見積もってあと4日くらい。 |
など | 多くの中の一例を挙げて他のいくつかの物を総括する時や、婉曲表現の時に用いる。 | 名詞および活用語の連体形に付く。 | 部屋の隅っこに幽霊などいるか。いるはずがないのだよ。 |
なんか | 一例を挙げて示す。 | 名詞、名詞に準じる語、活用語の連用形、一部の助詞などに付く。 | 食べたいのに食べさせてくれない、お前なんか大嫌いだぁ! |
なんて | ある事物を例示して、それを軽んじたり、婉曲(えんきょく)に言ったりする意を表す。 | 名詞、名詞に準じる語、活用語の終止形に付く。 | 愛してるだなんて..その時、私の渇いた心が潤いで湿った。 |
なり | 他にある適当な物としての例示を示す。 | 名詞や副詞、活用形の終止形、助詞などに付く。 | ああもうッ、出ていくなりどっかいくなり好きにしやがれ! |
やら | 不確実であるという意を表したり(ただし疑問文または、否定文の場合)、はっきり言わずに、ぼかして言うときや下に打ち消しの語を伴って、いずれとも不定である意を表すときに使用する。 | 体言または、体言に準ずる語、一部の副詞、助詞などに付く。 | はあーぁ..どうすればいいのやら。 |
か | 多く疑問を表す語について、不確かな意味を示す。理由や原因などの説明にそえて不確かさを示す。 | 色々な語に付く。 | 可笑しいか? |
ぞ | 不定の意を表す。 | 疑問を表す語に付く。 | なんぞこれしき、こわっぱがぁー! |
し | 上の語を強調する意を表す。 | 名詞、活用語の連体形および連用形、副詞、助詞などに付く。 | 眠くないだろって、眠いし! |
ばし | 疑問・推量・仮定条件・禁止・命令などの表現を伴い、上の事柄を取り立てて強調する意を表す。※古い言葉。 | 名詞・格助詞・接続助詞「て」などに付く。 | 背ばしあげるな。上は危険だ。 |
がてら | ついでに行う事柄を示す。 | 動詞の連用形または体言に付く。また、後に動詞が続くのがほとんど。 | トイレがてらタバコを一服。運動がてらタバコを一服。 |
なぞ・なんぞ | ある事物を特に取りあげて例示する。 | 名詞および活用語の連体形に付く。 | 雪崩か?くそッ氷の粒なぞにやられてたまるか。 |
ずつ | 数量や程度を示す語について、同一の分量が割り当てられることを表したり、同じような分量や程度が繰り返されることを表したりする。ある数量を等分に割り当てる意を表す。一定量に限って繰り返す意を表す。 | 数量・割合を表す名詞・副詞、および一部の助詞に付く。 | 1つずつ取ってくださいね。痛いですから。 |
のみ | ある物事に限定されることを示す。強く指定する意を表す。ある一つの事柄・状態に限定していう意を表す。ある一つの事柄・状態を取り出して強調する意を表す。感動を込めて強く言い切る意を表す。 | 色々な語に付く。 | 喜びも悲しみもない残ったのは、怒りのみだ。 |
きり | 事柄がその範囲に限定されることを示す。その限度・限界を示す。その状態がつづいていることを表す。動作や事物に付いて、その範囲を限定する意を表す。これ以上動作が行われないという限度・限界を表す。特定の事物以外のものは存在しないという意を表す。 | 体言、活用語の連用形・連体形に付く。 | 一度きりのチャンス、俺たちみんなで生き残るぞ。 |
や | 項目を並べ立てるのに使う。「やもしれない」などの形で、軽い疑問の意を表す。 | 名詞、名詞に準じる語に付く。 | 呼吸が苦しいやもしれない。 |
だに | 仮定・意志・願望・命令などの表現を下に伴って、取り上げた事柄が最小限であることを強く示す。軽い事柄をあげて他のより重い事柄のあることを類推させる意を表す。※古い言葉。 | 名詞、活用語の連体形・連用形、副詞、助詞に付く。 | 君をだに救いたくて。 |
すら | 極端な事を例としてあげ、他を類推させる意を表す。「すら」を伴う語からは、ふつう、考えられない、またはあってはならないようなことが起こる意を表す。 | 名詞、活用語の連体形、副詞、助詞などに付く。 | あのパワハラ野郎すら泣かせるお方だ。 |
以上、副助詞の一覧表でした。この他にも「助詞一覧表」で助詞の情報をまとめています。最後までご覧いただきありがとうございました!