となれば

となればとは?引用後の順接に使用される接続詞【日本語】

この記事では、接続詞の「となればとは何か」と「となればの例文」を紹介していきます。接続詞とは、文と文や句と句などを繋げる品詞の1つです。接続詞については、「接続詞とは」で詳しく解説しています。また、接続詞には、順接、逆説、補足…など様々な種類があります。接続詞を一覧でご覧になりたい方は、「接続詞一覧」の記事で包括的にご学習になれます。

 となればとは何かをお知りになると、接続詞を使用する場面で接続詞の中からその場面に一番適した接続詞を選択できる力がアップいたします。

 それでは、となればとは何かについての解説です。

となればとは引用をした後の順接に使用される接続詞

[格助]名詞、名詞的な語、副詞などに付く。
1 動作をともにする相手、または動作・関係の対象を表す。「子供―野球を見に行く」「友達―けんかをした」「苦痛―闘う」
「しぐれ降る暁月夜紐解かず恋ふらむ君―居(を)らましものを」〈万・二三〇六〉
2 (文や句をそのまま受けて)動作・作用・状態の内容を表す。引用の「と」。「正しい―いう結論に達する」
「名をばさかきの造(みやつこ)―なむいひける」〈竹取〉
3 比較の基準を表す。「君の―は比べものにならない」「昔―違う」
「思ふこといはでぞただにやみぬべき我―ひとしき人しなければ」〈伊勢・一二四〉
4 動作・状態などの結果を表す。「有罪―決定した」「復讐(ふくしゅう)の鬼―化した」
「年をへて花の鏡―なる水は散りかかるをやくもるといふらむ」〈古今・春上〉
5 (副詞に付いて新たな副詞をつくり)ある状態を説明する意を表す。「そろそろ―歩く」「そよそよ―風が吹く」
「ほのぼの―春こそ空に来にけらし天のかぐ山霞たなびく」〈新古今・春上〉
6 (数量を表す語に付き、打消しの表現を伴って)その範囲以上には出ない意を表す。…までも。「全部で一〇〇円―かからない」「一〇〇キロ―走らなかった」
7 (同一の動詞・形容詞を重ねた間に用いて)強調を表す。
「世にあり―あり、ここに伝はりたる譜といふものの限りをあまねく見合はせて」〈源・若菜下〉
[補説]4は「に」と共通する点があるが、「と」はその結果を表すのに重点がある。7は、現在も「ありとあらゆる」などの慣用句的表現の中にわずかに残っている。

出典 小学館デジタル大辞泉

格助 )
①動作・作用の相手・共同者を表す。 「先生-話す」 「友人-会社をつくる」
②比較の基準を表す。 「考え方が君-違う」 「以前-同じ要領です」
③動作・作用などの帰結・結果を表す。 「学生-なる」 「名を一郎-改める」
④動作・作用・状態の内容を表す。 「開催地は東京-決まった」 「出かけよう-したら雨になった」 「インフレは必至-考えられる」 「師-仰ぐ人」
⑤動作・状態の様子を表す。 「きっぱり-あきらめる」 「ぐらぐら-揺れる」 「あふれた水が道路を川-流れる」 「貴公子然-すます」 「意外-いい出来だ」
⑥量的な限度を表す。少ない量をあげて、打ち消しの形をとる。 「この食料では三日-もつまい」 「五分-待てない」
⑦心理的な状態を指し示す。「と思って」の意。 「早く行こう-先を急ぐ」
⑧引用語句であることを表す。 「『性は善なり』-孟子にもあるよ」
⑨(「とする」「として」の形で)状態を形容する。 「はっ-して目がさめた」 「じっ-している」
⑩「…と…」の形で、同一の動詞を重ね意味を強める。現代語では限られた言い方としてしか用いられない。 「あり-あらゆる人」 「生き-し生ける物」
⑪「…となく…となく」の形で慣用的に用いる。 「夜-なく昼-なく」

出典 三省堂大辞林 第三版

[1] 〘格助〙
① 連体関係を表わすもの。体言、または、体言と同資格の語句を承け、それが同種の語句に対して並立関係にあることを示す。
※万葉(8C後)四・六六〇「汝を与(と)吾を人そ放くなるいで我が君人の中言聞きこすなゆめ」
※伊勢物語(10C前)五〇「行く水と過ぐるよはひと散る花といづれ待ててふことを聞くらん」
② 連用関係を表わすもの。
(イ) (①の用法から転じて) 共同の相手を表わす。…とともに。
※古事記(712)下・歌謡「梯立の 倉梯山は 嶮しけど 妹登(ト)登れば 嶮しくもあらず」
(ロ) 引用を表わす。文あるいは文相当の語句や擬声語を承け、下の動詞(「思う」「言う」「聞く」などの場合が多い)の内容を表わす。
※古事記(712)下・歌謡「宮人の 足結の小鈴 落ちにき登(ト) 宮人響(とよ)む 里人もゆめ」
※万葉(8C後)一三・三二七〇「ぬばたまの 夜はすがらに 此の床の ひし跡(と)鳴るまで 嘆きつるかも」
(ハ) 体言を承けてそれを状態性概念とし、また、擬態語を承けて状態性副詞を構成し、動作概念を修飾する。体言を承けた場合、比喩的修飾となることがある。
※万葉(8C後)二・二〇四「やすみしし 吾が大君 高光る 日の皇子 久方の 天つ宮に 神ながら 神等(ト)いませば」
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「こまこまとかたらひ聞え給へば」
(ニ) 形式用言の実質を示す。
※万葉(8C後)一二・三〇八六「なかなかに人跡(と)あらずは桑子にもならましものを玉の緒ばかり」
※伊勢物語(10C前)一二三「野とならばうづらとなりて鳴き居らむかりにだにやは君は来ざらむ」
(ホ) 比較の基準を表わす。
※伊勢物語(10C前)一二四「思ふこと言はでぞただにやみぬべき我とひとしき人しなければ」
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「かたちなどはかのむかしの夕顔とおとらじや」
(ヘ) 同じ動詞、または、形容詞の間に用いて強調を表わす。動詞の場合は連用形を承け「し」が下接することが多く、形容詞の場合は終止形を承け「も」が下接する。
※竹取(9C末‐10C初)「大納言は我が家にありとある人をあつめての給はく」
※古今(905‐914)仮名序「生きとし生けるものいづれか歌をよまざりける」
(ト) (打消の言い方を伴って) その限度を表わす。
※浮世草子・風流曲三味線(1706)六「おらんが死骸土にまぶれて中々二目と見られず」

出典 精選版 日本国語大辞典

+なれば

[接]《断定の助動詞「なり」の已然形+接続助詞「ば」から》それだから。したがって。
「はじめは嘘なれども女房になれば男を真実に思ふ。―これを嘘の誠といふ」〈伎・浅間嶽〉

出典 小学館デジタル大辞泉

( 接続 )
〔断定の助動詞「なり」の已然形に接続助詞「ば」の付いたもの〕
①であるから。故に。 「此の暁、藤太が姫君を奪とりに来る、と云うた。-そちを疑はねばならぬ/歌舞伎・一心二河白道」
②問いの句をうけて、答え・解説などを導く語。 「昭儀は何程の位ぞ。-大納言ほどの位ぞ/蒙求抄 4」

出典 三省堂大辞林 第三版

〘接続〙 (断定の助動詞「なり」の已然形に、接続助詞「ば」が付いて自立語化したもの)
① (相手の疑問を受けて) それは。
※中華若木詩抄(1520頃)中「船中の客には、なにがよりつかんずるぞ。なれば、一列に双て飛去ぞ」
② 前の事柄の当然の結果として、後の事柄が起こることを示す。それだから。したがって。
※歌舞伎・傾城浅間嶽(1698)上「始めは嘘なれども、女房になれば男を真実に思ふ、なれば是を嘘の誠といふ」

出典 精選版 日本国語大辞典

 上の6つの引用文は、それぞれ格助詞「と」と接続詞「なれば」の「小学館デジタル大辞泉」、「三省堂大辞林 第三版」、「精選版 日本国語大辞典」による定義です。

 「となれば」は、格助詞の帰結・結果を表す「と」+断定の助動詞「なり」の已然形に接続助詞「ば」の付いたものからなる接続詞の順接(じゅんせつ)です。接続詞は、接続詞=活用しない自立語ですので、”となれば”も活用しない自立語となります。ちなみに、活用する自立語は、動詞や形容詞、形容動詞です。

 となればとは何かを要約すると、動作・作用などの事柄の根拠・理由を引用して、「走る」、「振り返ってはだめだ」、「見ていた」などの結論・結果を述べる際です。

 以上でとなればとは何かの解説は終了です。

 続いて、となればを使用した例文を紹介していきます。

となればを使った5つの例文

例文

ここでは、”となれば”を使った例文を5つご紹介します。

  1. 空に見える物体は隕石。となれば、俺たちのいる場所はかなり危ないぞ。
  2. 人が道路に倒れている。回りには僕だけしかいないらしい。となれば、僕が動かなければ、あの人は危ない!
  3. メロスは走った!となれば、メロスは、まだ希望を持っているはずだ。
  4. 飛行機のフライト時刻は変わらない。となれば、予定を変更せずに行ける。約束の地へ。
  5. 茶色い毛に大きい瞳。そして、小柄な体格。となれば、そのワンちゃんは、チワワですね。

 今回は、接続詞の「となればとは何か」と「となればの例文」を紹介していきました。となればとはどんな意味だったでしょうか?

 おさらいをすると、となればとは、引用をした後の順接に使用される接続詞のことです。最後までご覧頂きありがとうございました!